(研修会報告)
テーマ 『介護保険改革と介護経営』
講師 慶応義塾大学大学院経営管理研究科教授 田中 滋 氏
日時 平成17年12月20日(火) 13:00〜16:00
場所 広島国際会議場 「ヒマワリ」(広島市中区中島町平和公園内)
参加人数 330 名
研修内容
1. 広島市介護保険課より挨拶・報告
広島市社会局介護保険課の佐々木課長の挨拶のあと、担当者から「広島市高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画」の中間とりまとめについての報告があった。併せて、市民に対する説明会を全区で、12月後半に開催する旨のお知らせがあった。
2. 当協議会の落久保会長より挨拶・情報提供
(1) 地域包括支援センターの運営を協議する目的で設置される広島市の運営協議会に、落久保会長が介護支援専門員の職能団体の代表として、参加するとなった旨の報告があった
(2) 研修の必要性についての理解と研修会への積極的な参加についての依頼を行った。
「制度や状況が変わり、高齢者を支えるためのケアマネジメントも少しずつ変遷している。その中でケアマネージャーは、常に新しい情報をキャッチし、自分のための、引いては事業所そして高齢者のためになるという意味で研修を仕事として位置付けてほしい。
制度改正にかかる課題として一番大きな事は個人の指定制である。
『介護支援専門員の評価』=『事業所の評価』になっていくのではない。今後も当協議会では、研修を開催していくので、所属のケアマネージャーに研修会参加の機会を多く作っていただきたい。」
3. 講演
会長より田中 滋先生について「ケアマネジメント学会理事・日本介護経営学会の設立代表者であり、国の社会保障審議会介護給付費分科会に属し、厚生労働省の高齢者介護研究会での長年のご活躍等多方面にわたり介護と医療に関してのお仕事をされておられる」との紹介。

田中滋 教授の講演要旨
(1) 12月13日発表された「平成18年度介護報酬改定に関する審議報告(案)」について、基本的な考え方及び介護報酬の項目毎に改定内容の説明があった。
訪問介護の生活支援の時間の上限
訪問看護は時間を短くし、今後増えるニーズに対応し易く
療養指導については主治医の考え方
通所介護、通所リハは規模別に、療養通所という新しい考え方
短期入所にはネットワーク体制の構築(緊急ニーズに対応するための)
特定施設の外部サービス利用型の導入
福祉用具の軽介護者への考え方
居宅介護支援については、公平、中立、質の向上の観点からの見直しと初回時についての報酬上の評価 他
(2) 2000年介護保険制度の制定前から今日まで、そして超高齢化を迎える将来に向けて、介護サービスの分析と展望について。
・第2ステージの社会の要請
・政策:戦略的対応
・地域包括支援センター:理念
・介護予防マネジメント
・報酬改定の方向
・介護報酬:論点
・介護予防サービスへの報酬
・市場性をめぐって
・シニアビジネス
(3) 質疑応答
6人の方から質問があった。
居宅支援事業・ケアプラン作成に関しての質問が4名
療養通所に関して1名
訪問介護で新予防介護に移行する事に関して1名


先生のご講演は大変分かりやすく、深刻な内容だったが、随所で笑いが起こり、集中して拝聴することができた。
今回1番印象に残ったのは、地域包括支援センターの役割の重要性である。今後も、この事業の方向性に関心をもって見守ることが重要と感じた。
(グループワーク研修会アンケートまとめ) 平成17年12月20日(火)
「介護保険改革と介護経営」 13:00〜16:00/広島国際会議場ヒマワリ
問1 本日の講演の内容はいかがでしたか。(回答数116人)
1 大変よかった 39人(34%) 2 よかった 60人(52%) 4 ふつう 12人(10%)
3 あまりよくなかった 3人(2%)   4 よくなかった 2人(2%)  
意見・抜粋
介護保険の改革についてわかりやすく説明されたので、今までのぼやけた所がよくわかった。
今後の介護保険改革がどの様になるかがおぼろげに分かりました。このような研究会を開いて頂けたらと思います。
最新の情報を教えて頂き、今後の動向について知ることができました。今後の業務に生かしていきたいと思います。
とても聞いていてわかりやすく時間も適切であった。
先生の話はとてもおもしろかった。もっと突っ込んだ話を聞ければもっとよかった。また先生の講演を聞きたい。
田中先生の講演はざっくばらんで分かり易く好感がもてました。具体的に改革の内容をかいつまんで説明して頂き全体像が見えてきました。
田中先生によります改革と介護経営の講演はわかりやすく理解につながり、また機会があれば聞きたいと思いました。改革に際して不安が多く心配でしたが、理解をしていくことで頑張れそうな勇気がでました。
難しくてわからない言葉もありましたが、途中途中に楽しい話があり、最後まで集中して聞くことができました。
具体的な話から今後の市場性について等、イメージしやすい話までわかりやすく、ためになりました。
経営という視点での研修、初めてではないでしょうか。大変勉強になりました。
最新の動向・経営の視点から(いつもとは違う視点)考える機会を与えていただいて良かった。
4月からの内容についてよくわかった。改正について納得できる部分が増えた。
予防給付についての諸事情、細かい内容の説明(未確定)があり、有意義だった。
要支援対象者が多くなると送迎などの加算がなくなり、どのような経営になるか本当に心配です。
介護経営のイメージとかけ離れていたがわかり易かった。
介護事業をマーケティングとしてとらえた事はなかった。善意のかたまりのようにして事業を行ってきたが、市場として考えた時、評価、コストのあり方をもう少し評価していただきたい。
特定施設の事を詳しく説明してほしい。施設サービス計画を作成する施設のケアマネジャーの流れを詳しく知りたい。
質問は出来なかったのですが、デイサービスの報酬が下がる内容をもっと詳しく知りたかった。
新しい報酬の考え方では、対象者少人数になるであろうサービスを提供する事で、評価される内容が多い。人員や施設整備のコストが事業者にとって負担が大きくなるばかり。
広島市高齢者保健福祉計画の中間とりまとめの説明に関しては、説明時間をもう少し入れていただき、丁寧な説明を受けたかったと思います。後日、区ごとの説明会でもう一度聞きますが…。
地域包括支援センターの理念については今回の講演の中で聞けた事であり、今、混とんとした五里霧中のように思えている部分に少し光が差す思いでございました。不安は消えませんが…。
地域包括センターへという話が出ていたが、行政責任、区の保健師がはたした役割は何だったのか。
地域包括支援センターの理念についてきけたことが良かった。
包括支援センターのとらえ方が自治体で違うという点が興味深かったです。措置に戻るのか、事業所の利益を考えて事業所が動くのか…。そのようなふところを考える先行きにはなってほしくない。広島市の「善」を信じたいです。
市場原理の方向には同意しかねます。
管理者対象の研修のため理解できない点もありました。
介護経営の視点からは判りませんが、ICMとして内容が判りにくかったと思いました。
難しかったです。項目よりも、もう少しかみくだいて分かりやすくなっていたら、私の頭でも整理できたかもしれません。
大変いいお話、新しい情報がいっぱいあり、聞き入るものであったが、残念なことに声が小さく聞きとれない部分がありました。
バラバラ単語の羅列で流れ関連性がなく何を言いたいのか全く不明。もう少し焦点をしぼって話してほしかった。
問2 今後参加してみたい研修やテーマ、その他意見
介護経営について、より具体的な講義を受けたい。
施設サービス計画を作成する介護支援専門員の研修会(事例発表等)を勉強する機会を作ってほしい。
ケアマネを確保するに当たり、年棒が一般介護者より高い。ケアマネの報酬でケアマネの給料が確保できない。利用者の連帯の中で、他職種との打合わせ等の時間を考えると、広島市の最低賃金にもならないように思う。
地域包括支援センターについて。役割表としては理解できたが現実として提案される業務を受けきれるだけの力量がないというのが本当のところではないか。具体的にどう動き、どう地域ネットワークを作っていくか、ノウハウを教えてほしい。
地域包括支援センターに関連するテーマ。その目指す本質、担当業務、果たすべき使命(?)といったことについて解説を受ける研修の企画があればと思います。
予防プラン、今後の介護制度について勉強会、緩和ケア、DLについて。
変わりゆく介護保険について今後も変化についてゆけるように研修に参加したい。
平成18年4月の法改正にともなう、こまかな内容を研修会にとりあげてほしい。
居宅が独立できる助言が頂ける研修を希望します。
責任者研修などもあればと思う。
介護予防の関係
新アセスメントツール
多職種協働に関しての提案
最新の情報を常に提供していただきたい。
今後も本日のような全国レベルの講師によります研修をお願いします。
今日の様な研修で先駆者となれる様な話をもっと聞いてみたい。
来年の管理者研修も田中先生でお願いします。
今は予防給付と介護保険制度の改正の内容を把握するのでいっぱいいっぱいです。ので、関係する研修には参加したいです。(…業務は増える一方で、適正という行政の言葉には切なくなります。地域の高齢者からの要請に「あなたは51人目なので相談に乗れません」と言えとおっしゃるんでしょうか…。制度も大切ですが、誰のための制度なのかをもう少し考えていただきたいです。研修への意見ではないんですが…。)