(研修会報告)
テーマ 居宅介護支援事業所研修会
日時 平成21年3月12日(木)14:00〜16:30
場所 広島国際会議場 「ヒマワリ」
参加 540名
講演 「平成21年度介護報酬改定と介護支援専門員に期待すること〜日本の現状を踏まえどのように考察するのか〜」
講演講師 厚生労働省老健局振興課課長補佐  遠藤 征也 氏


 研修会では介護報酬改定の動向、これまでの経緯、高齢者が増えて来ている事等を述べられました。
 介護支援専門員は現在46万人おり、超後期高齢者が増え、少子化の問題に平行して、今後の介護保険を取り巻く課題、介護従事者の確保、処遇改善、医療と介護の機能分化、連携の推進、認知症高齢者等の増加を踏まえた認知症ケアの推進、効率的なサービスの提供や新たなサービスの検証について説明がありました。加算も40種類見込まれ、50万〜80万円の増収になるので、取れるものは取って欲しいと言われました。
 また、職員の定着配置をクリアして、スキルアップの向上を目指して欲しいということでした。

「サービスの質の向上の為」
・明確な達成目標を持とう
・業務の実績成果を目に見える形で表そう

「忘れてはならないこと」
(1)利用者の権利を擁護する
(2)利用者の自立支援、自己実現を可能な限り追求する
(3)利用者を価値ある人間として尊重する

 介護保険制度は、介護が必要な状態になっても、その人の能力に応じ自立した日常生活を営むことができることを目標としている。その人ができる範囲で可能な限り「自分らしい生活」「その人が望む生活」を営むことができるように支援して、すなわちこれが基本理念の一つである。「自立支援」という考え、利用者の生活は、身体の状態や生活環境、生活歴等が絡みあって成り立っていることから「自分らしい生活、望む生活」は個人個人千差万別である。
 その為に介護支援専門員は、専門的な見地からアセスメント等を通じて全体像を把握し、利用者のニーズを導き出し、最も適切なサービスは何かを考え、必要な情報等を提供し、調整を図り、サービスを結びつける役割を持つと述べられ、介護支援専門員のスキルアップに努めて下さいと結ばれました。
(研修会アンケートまとめ)
回答数263人
問1.本日の研修会はいかがでしたか。
とても参考になった 131人(50%) 参考になった 120人(46%)
あまり参考にならなかった 6人(2%)   参考にならなかった 0人(0%)
無記入 6人(2%)    
◎本日の研修会ついての意見、総評(抜粋)
<研修内容について>
とてもよく理解でき、参考になりました。(14名)
いい時期に研修会を開催していただき参考になった。(2名)
方向性がわかった。(2名)
今回もケアマネとして意識高揚となる、現状がよく分かる内容でした。
社会保障の権利とその財源負担に対する義務についてもっと国民にしっかりと考えるよう告知していくべきだと思う。楽して責任を国に転化していく国民が増えているのではないかと同時に、税の無駄遣いや公務員と民間での価値観の隔たり、国民の責任を問うと同時に公務員としての倫理について考えていくべきだとおもう。
国がどのように考え、我々はどうすれば介護保険制度がより良いものになるかがわかりました。
基本の考え方や、今後の業務上の言葉での説明ができるようになると思います。
具体的な数字や判断理由が聞けてよかった。
厚労省の狙っていた点を少しお話頂いてとても参考になった。(2名)
毎回タイムリーに研修を開催して下さるので大変参考になります。厚労省の方の意見や方針を聞けたり、現場の声を直接聞いてもらえるというのは、とても大切なことだと思います。
とてもタイムリーな研修だったと思います。ただ、報酬が上がったことに視点を置き処遇改善のためという大義名分を前面に打ち出しているが、果たしてそうなのでしょうか?厚労省の姑息な考え方が見え隠れしていると思います。「認定調査の件」等しかりです。今後の施策をしっかり見据えていかなくてはと思います。
<介護報酬改定について>
もっと詳しく具体的に説明をして欲しかった。(21名)
過程がよくわかった。(17名)
4月からの改定で一体どうなるのか不安でしたが、少し軽減された様な気がした。
今回の改定で、特に限度額をオーバーしている方の今後のプランの見直しが厳しい。結局、利用者に負担が大きくなった点があり心痛。
介護報酬が上がるという事は利用者さんの支払いに負担がかかり保険料に反映するということを念頭において自分も頑張っていきたいと思った。
加算について理解ができました。(3名)
加算が多種多様でしっかり理解する必要があると思った。
限度額のアップがなく、事業者側の加算ばかりで利用者のしわよせが行くばかりの制度…。どうしたらよいのでしょうか。
<ケアマネに関することについて>
事業所の内容確認など、ケアマネの理解すべきことがよく分かった。
長期的なプランで今後の居宅のあり方、ケアマネのあり方を考えていきたい。
包括センターのプランでの所要時間が居宅への委託に比べ短いといいますが、その他の推進事業や相談窓口などをしていたら、プランに時間をかけることができないこともあります。包括の仕事についてもプラン以外の仕事内容も理解してほしい。
ケアマネとしてのスキルアップの必要も学ぶことができました。利用者に介護報の変更について説明をしていますが、急な事で困惑される方も多く、行政側の説明もお願いできると助かります。
<自分自身を振り返って感じたこと>
熱い気持ちが伝わり、4月から加算のエビデンスがとれるように自分の仕事を見直していきたいと思います。
自分達が行うことの裏付けや意味合いがよく分かった。こういったことを知っていると知らないでは仕事へのモチベーションが変わってくる。
暗い話ばかりの福祉だが、一人一人が考えをしっかり見通していけたら明るくなることを実感した。
自分の仕事の役割の大きさを突き付けられました。家族の介護力の低下、介護の持ち出しは辛い課題です。
所々わかりにくい内容がありましたが、将来のビジョンを描いていく大切さをかんじました。
介護支援専門員としてどうあるべきか改めて考えることができました。(2名)
専門性を理解し、適正なケアプラン作成に努力したいと思います。
利用者の方の不安があり、今後のケアプランを考え直さなければと思いました。
介護支援専門員として、利用者の自立に導いていけるよう対応してみようと思う。
介護支援専門員としてやりがいを見つけたい。事務処理に追われて大変である。
ケアマネの仕事を辞めたくなった。
給料は上がりそうもないが、なんとかやって行こうと思います。
<要望・その他>
また来てほしい。(9名)
各事業所でまだ決まっていないところが多い。いつもバタバタと改正になり、私たちが利用者との間に挟まれて大変困る。
居宅に係るものをもっと詳しく知りたかったが、時間が短かった。
介護予防支援の手間がとてもかかります。412単位はひどい!!頑張れば頑張るほど、相談、介護申請者、要支援者が増え、自分達の首を絞める形となる。厚労省は現地で現実を見てほしい。データで判断しないで下さい。
改訂内容について、「よく分からない…」など言わないでほしい。厚労省の職員としての責任を感じているのか疑問。今回の改定について納得できない。
報酬の詳しい話がもっと聞きたかった。
改訂に至る話より、改定に伴い、ケアマネが実際の業務に必要な所に重点を置いてほしかった。やはり、与えられた条件で利用者と相対するのは私達です。決められた条件の把握が一番聞きたいです。
改訂に伴いどう変わるのかをゆっくり聞きたかったです。冊子にのってない事も教えて頂きたかったです。
介護予防支援への見直しが軽すぎると思う。同じことをしても報酬がもらえないのならば仕事への意欲は低下するし、やる気も起こりません。予防事業にもっと力を入れることが介護度を上げないことにつながるんじゃないですか。要介護が下がったら文句を言われることもあり、改善できた所は評価してほしい。
ケアマネ一人当たりの担当件数が増えず、ずっと赤字で上司から件数を増やせと言われますが、難しいです。増えたと思っても、入院や施設入所の繰り返しです。ケアマネ業務に集中したいが収入やケアプラン点検のことが気になってしまいます。
複雑になりすぎる。一生懸命やればやるほど業務が増えていく。サービスを提供する職員のレベルが低すぎる。この業界から去ろうと思っている。
問2.今後、参加してみたいと思われる研修のテーマやその他ご意見等がありましたら、ご自由にお書きください。
<参加したい研修テーマ>
介護報酬改定について(8名)
認定調査の記入方法について
認知症について(7名)
精神疾患について(3名)
医療との連携について(2名)
各種制度について(6名)
権利擁護について、ケアマネと司法の連携
法令解釈について
返戻、減算について
ケアマネの悩み相談会
在宅緩和ケアについて
包括支援センターの目指すものについて
日本ケアマネ協会の役割
利用者の家族関係等背景に問題がある場合の対応について
障害支援費や年金など経済的なことについて
家族心理療法