(総会・研修会報告)
「平成24年度総会及び自主研修会」
日時 平成24年6月28日(木)13:30〜16:20
場所 アステールプラザ「中ホール」
参加者 183名


1.総会
(1) 開会
(2) 落久保会長挨拶
(3) 平成23年度事業報告
(4) 議事
 第1号議案 平成23年度決算について
 第2号議案 平成24年度事業計画(案)について
 第3号議案 平成24年度予算(案)について
 第4号議案 役員の交代について

2.自主研修会
講演  「24年介護保険報酬改正とケアマネジメントの方向性」
講師  日本ケアマネジメント学会理事
 NPO渋谷介護サポートセンター 服部 万里子 氏

1.平成24年度介護保険改正に対して
医療報酬と介護報酬とでは、利用者に対するサービス提供の仕組みが異なる。改正後の4月からの治療に対して新しい仕組みを採用可能な医療報酬と異なり、介護報酬では3月中にモニタリングの訪問を済ませ、状況によっては制度改正後の変更等について利用者に説明を行う必要がある。これらの仕組みの違いを考慮し発表に対する時間的な配慮を行ってもらいたいと感じている。

2.介護保険料と報酬に関して
財政安定化基金(市町村の介護保険財政の安定を図るために都道府県が設置する基金)や介護給付費準備基金(介護保険会計において生じた歳計剰余金)の一部取り崩しにより、介護保険料が5千円を超えるにはいたらなかった。
介護保険受給者は増加しており65才以上の普通徴収の収納率は低下している。普通徴収が困難な方は自身で納入する必要がある。全体の15%程度は未納が発生している。介護保険料が未納の場合、負担割合の変更等により利用者負担額が異なる場合があるので注意が必要。介護度別の利用者一人あたりの平均利用額は概ね低下している。そのような状況から、介護給付増は、利用者全体数の増加が影響しているといえる。
社会構造が変わる中で必要とされる介護保険制度をどう維持していくかということを考えていく必要がある。そこには、現場の第一線にいる介護支援専門員も適切なアセスメントと最適なプランを提供していくという形で協力していく必要がある。

3.介護保険法改正のポイント
●高齢者住まい法を介護保険制度に合わせて改正
●24時間定時巡回型+随時サービス及び複合型サービスの創設
●介護職の医療行為
●訪問介護の生活援助の時間変更
生活援助がどういう状況で、何の目的でどういう内容で提供されているかということを、アセスメントし直す必要に迫られた。こういうことを切欠に、利用者の負担を増やすことなく、課題を解決していく知恵を集めていく必要がある。そこにある課題が地域の共通課題ととらえられる視点も重要。

4.介護支援専門員の方向性
介護支援専門員基礎調査において以下の指摘を受けている。
●通院・服薬把握が不十分
●日常生活スケジュールの記載漏れ
●課題と優先順位が不十分
●短期目標が期間で評価できるほど具体化されていない
●認知症・廃用症候群の事例で状態像に応じたサービスの整理が不十分
●改善可能性が高いがリハビリ利用少ない
●通所介護サービスと課題の整合性がない
以上の指摘を受け止め意識したケアプランの作成をしていく必要がある。
アセスメントにより、利用者が希望する生活を総合的に支援する為には、その人の持つ力を活かすための環境整備が重要。利用者を支援する様々な専門職が生きてくるようなコーディネート力、他職種連携が必要であると同時に有効なケアプランを社会に対して表現していくことも重要である。
(アンケートまとめ)
(回答数 118人)
1.本日の研修会はいかがでしたか。
とても参考になった 75人(64%) 参考になった 41人(35%)
あまり参考にならなかった 2人(1%)   参考にならなかった 0人(0%)
2.研修会についての意見等(抜粋)
聞きやすかったし、現状の問題点・課題を明確にしながら講義をしていただき、現場からみての話も聞くことができて良かった。机上の論議ではないので勉強になり良かった。
わかりやすい説明で、介護保険改正と今後の動向が理解できた。
法改正の目的等、日ごろの思考にない視点に気づかされた。ケアマネのモチベーションが上がった。
今回の改正のみえなかった部分がみえた気がしました。
改めて、居宅介護支援事業所としての役割を様々な角度から分析することで、大切なことが分かった。改正で、ケアマネ不要論があるということは感じていたが、専門性を発揮できていないという現状がある。今後、様々な情報を得ながら、日々の業務に励んでいきたい。
定期的にお話しを聞きたくなった。
今後の方向性がとても気になります。自分達の行っているマネジメントを再確認してみようと思いました。
実際に実務をされており、本当によく思いが理解できました。「ケアマネとは」ということも分かりました。
ケアマネに対する厳しい評価もある中で、努力不足の部分もあると感じた。
先生の話を聞きながら、日々の業務を振り返り、まだまだ足りない部分が多いことを実感した。
実務でケアマネをされていて、とても身近な問題点に感じました。再度、マネジメントの仕事を見つめ直したいと思います。ありがとうございました。
ケアマネを実践されている服部先生のお話はとても分かりやすく、データがいろいろ出てきて変化がみれて良かった。
ケアマネの仕事を始めたばかりなので、とても勉強になりました。
今回の報酬改定の件、また、新しい制度のことがよく分かりました。
ケアマネジャーとしてコーディネート力をつけなければと思いました。また、その方を中心に人間関係の強くいいものにしていければいいと思いました。
わかりやすかった。時間が許せばもっとお願いしたい。
報酬改正について、現場での状況をわかりやすく説明していただき、よかった。
具体的で非常に参考になった。翌日のやることに役立つと同時に、今後の方向性がみえてきた。
今回の法改定の意味と、今後の見据え方も詳しく理解できた。
今回の資料を拝見させていただいて、自分の分からないところ、これから新しく身に付けていかなければいけない知識を気付く契機となりました。ありがとうございました。
3.今後参加してみたい研修会テーマ
原爆関係の法律及び生活保護の法律について
社会資源について(ボランティア、シルバー等)
コミュニケーション力や調整力について
認知症について
ケアプラン作成について
支援経過、記録の仕方について
アセスメントの手法について
低収入の利用者のケアマネジメントについて
医療と介護の連携について
今後の介護保険制度の動向・方向性について
4.その他ご意見(抜粋)
実務経験1年未満の者が参考になる企画や交流の場があれば助かります。