(総会・研修会報告)
「平成26年度総会及び研修会」
日時 平成26年6月12日(木)12:30〜14:45
場所 アステールプラザ「中ホール」
参加者 227名


1.総会
(1) 開会
(2) 落久保会長挨拶
(3) 平成25年度事業報告
(4) 議事
(5) 第1号議案 平成25年度補正予算(案)について
第2号議案 平成25年度決算について
第3号議案 平成26年度事業計画(案)について
第4号議案 平成26年度予算(案)について
第5号議案 役員の交代について

2.自主勉強会
講演  「地域包括ケアにおけるケアマネジメントのあり方」
講師  立教大学コミュニティ福祉学部講師
 NPO渋谷介護サポートセンター理事長
 服部 万里子 氏

 本年4月の医療保険診療報酬改定は地域包括ケアシステム構想を色濃くした。さらに介護保険は今年一年で次期(2015-17)第六期計画を構想し、来年度改定に踏み込んでいくことになる。診療報酬改定の内容を踏まえ、来年4月の介護保険制度改正でケアマネジメントがどのように変わり、それに対してケアマネジャーがどのような対策、備えを講じなければならないのか。
服部万里子氏を迎え、講演していただいた。以下、その要旨である。

 保険者は、住まい・医療・介護・予防・生活支援を一体的に提供できる地域包括ケアの構築に向けて「日常生活圏域」を設定する。この圏域は、各保険者の事情に応じて中学校区、人口一万人、30分移動範囲内という様々な要素から決定づけられる。最近の医療・介護保険制度の流れを鑑みると、この圏域中の提供サービスは、サービスのパッケージ化を行いつつ報酬を包括する傾向にある。

 この度、機能強化型訪問看護ステーションが創設され、より重症度の高い患者に対する訪問、そして居宅介護支援事業所との併設が要件となった。また、維持期リハビリをケアマネジャーと協働して介護保険へ移行させる考え方が取り入れられ、「地域包括診療料」も創設された。

 全て病院から在宅へ、医療から介護へと円滑に移行するための構図である。本年10月以降は、病院が高度急性期、急性期、亜急性(地域包括ケア病棟入院料)期、慢性期の4つに分けられる。それぞれの病棟の入院期間に在院日数制限が加えられ、在宅復帰率が定められているため、医療ニーズの高い高齢者が在宅生活を余儀なくされる状況が生じうる。ケアマネジャーは生活支援に相まって医療ニーズにも応える必要が出てくるため、病院と協働して在宅支援計画を練る必要があり、これまで以上に病院との連携を図らなければならない。

 次に、要支援者が地域支援事業に委ねられる。調査では要支援になった原因のトップは関節疾患、次は老衰となっており、これらは治らない。治らないことを前提とした生活支援のありかたや、これから施設入所できなくなる要介護2までの要支援・要介護高齢者の在宅生活支援を考えていかなければならない。2025年に向けてさらに高齢化が進み、介護に携わる事業者が増えるとともに、地域包括ケアの構築に向けて、生活支援サービスを提供する事業者(殊にインフォーマル支援の担い手)等との連携が必須となる。つまり、ケアマネジャーは専門性の確立とともに、これまで以上に様々な社会資源を把握すると同時に関係者に要介護者等の課題を把握した経緯をわかりやすく説明して協働体制を図らなければならない。また、ターミナルではレスパイトを確立し、家族が仕事を辞めて経済的孤立をしなくてもすむコーディネートが求められる。ケアマネジャーの多岐にわたる期待に応える必要性を訴え、最後に「新潟大会には830名が参加表明しています。是非、大会に一緒に参加しましょう!」と締めくくられた。
 
(アンケートまとめ)
1.本日の研修会はいかがでしたか。(回答数145人)
とても参考になった 97人(68%) 参考になった 45人(30%)
あまり参考にならなかった 3人(2%)   参考にならなかった 0人(0%)
2.研修会についての意見等(抜粋)
活用できるインフォーマルなサービス、実際に困難になっている事例など具体的に示していただいてわかりやすかった。
次の改訂に向けて、今どんな話が国で進んでいるのかわかり有意義でした。
医療依存度の高い人を受ける場のスキルアップが必要だと思います。そのあたりを考えていただけるよう提言していただきたいと思います。
わかりやすく解説して頂きましたので、聞きやすかったと思います。今後どのように変わっていくのかわかりました。
現場にたずさわっている先生のお話は具体的でとてもわかりやすかったです。
国会で決まらないと具体的な事が判らないが、利用者の立場になった改革になって欲しいと思います。
今回の医療、介護保険制度改正、報酬改定はその人の生活をみていないことでの改正という事でケアマネとして、その人の生活をきちんとみれるようにしていきたいと思います。
ケアマネに求められることが多すぎる。何もかも、ケアマネにしてもらうことが前提のようである。介護保険利用のハードルが高すぎる。次の改正は改悪でしかない。消費税を福祉に回すと言いながら逆。保険料は取られるばかり。ひどい国のやり方に日本はもう真っ黒。
社会資源の種類などわかり良かった。
フォーマルサービス、インフォーマルサービス、介護、医療を連携させていくことの重要性と具体例も示していただき、参考になりました。
自ら現場を知っておられるので講演を聞いていて納得できます。
非常にすばらしいご講演ありがとうございました。制度の現状や問題点、今後の視点等よくわかりました。現場が面している様々な問題点を厚労省や政治家に是非とも提言して頂きたいと思います。
服部先生のパワフルなお話で元気が出ました。
先生の熱い講義を聞きながら、自身の利用者のこと、関わり方を振りかえれました。今後の動向を把握しながら、より利用者に寄りそえるようにしたいです。
制度が変わっていく中で、いかに現物を充実させるためにケアマネジャーがどうしたら良いか参考になりました。いかに工夫が必要か?
制度が変わるたびにそれに対して対応していかないといけないので、もっと勉強しないといけないと思いました。
国の目指す方向がイメージできた。現場との差異をよく考えて行動していきたいと考える。
内容の量に対し、時間が短かった。できれば、もう少し時間をとってお話を聞いていきたい。
現在の問題点をケアマネジャーの立場よりの提案を含めてとても良いお話をありがとうございました。心の中で、そうそうと思う事が多々ありました。
地域支援事業を分かりやすく教えて頂きました。毎日悩みながら支援していますので、方針を自分自身が決めて、担当する方、ご家族へとぶれない支援を行っていきたいと思います。
制度改正のたびに現場は右往左往させられている。超高齢化社会にむけてケアマネジャーに対する要求がますます多くなり、こたえられるか不安。
介護保険制度が変わっていくが、生活を支えていくCMの役目はさらに重大になることが理解できた。できることから取り組んでいきたいと思いました。
今回の法改正についての内容は漠然としてしか理解していなかった。今回の研修で少しは理解が深まり良かったと思います。
大変興味深い内容でしたが、ゆっくりじっくりさらに伺えたらと思いました。
ぼんやりとした地域包括ケアならびに来年度の介護保険改正の方向性がわかりました。今後の改正の方向を確認していきたいと思います。
今後の地域包括ケアに対する不安は大変大きいです。担当支援者に対する思いと事業主との考え方の違いは大きく、さらなる個人ケアマネに対する負担増が考えられています。
在宅といっても老々介護、共働き世帯、また家族間の関係は必ずしも良好ではなくサービスだけ、インフォーマルでもなかなか難しいケースが沢山あります。施設ばかり増えるのも問題ですが、在宅生活についてもっと政治家の人には知っていただきたいです。
私は久々に(8年振り)CM業務になり、様々な視点を持たせて頂ける良い研修でした。すぐに日常の業務に生かせる様 取り組んで頂きたいです。
今回の改正のポイントや国や介護保険がどういう方向に行こうとしているのかよくわかりました。しかしケアマネの未来は暗いなあと思いました。どのタイミングで辞めるべきか…考えます。服部先生のお話自体はエネルギーあふれる力強いお話でした。とてもよかったです。
今の制度はお金が中心になっている事が一番ですね。他に無駄を使う事が多いのに政治がどうなっているのか理解できません。
なぜ制度見直しの時に現場のケアマネが検討会に入らないのでしょうか。
大幅な法改正の詳細を聞くと、高齢者の在宅生活はこれからどうなっていくのだろうと不安になります。
要支援者の今後の処遇や特養入所の入所対象者の介護度重視等により利用者、介護者にとって不都合が生じないような施策をお願いしたいと思います。2025年の地域包括ケアの実現に向け、行政と住民が課題に対して一緒に考えていく姿勢が大切だと感じます。(地域課題は何なのかを共有)
毎回勉強させて頂いています。とても解りやすく今後業務していく中で問題意識をもっと持ち、お一人一人に向き合っていきます。
訪看との連携の必要性、ケアマネだからこそ出来る役割の大切さを学んだ。
特に在宅での内服確認の必要性については、各事業所との連携を図り、協力しながら支援をしていこうと思う。
3.今後、参加してみたい研修のテーマやその他意見等(抜粋)
地域包括ケアシステムについてもっと学び、新しい情報を吸収したいと思いました。
後見人制度について知りたいです。
新規ケアマネになったばかりなので、いろいろな研修に参加していきたいと思います。
医療と介護の連携について詳しく検討されたもの。これからの制度改正で実際の現場の対応について研修していただきたい。
医療ケースの高いケースの連携の取り方
生活困難者のケアマネジメントの工夫
インフォーマルサービスの重要性はきょうの講義でも特に言われてました。実際、広島市ではどの程度あり、取り組まれているか。活動事例、成功事例を知りたいです。
ターミナルケアについて
障害者制度との連携
生協さんの認知症サポーターの実際の活動状況(上手くいったケース、困難ケース含む)など、インフォーマルサポートの活動団体の動きを勉強したい。
今日の講義をお聞きしながらますます医療についての勉強が必要と強く感じました。病症、医療との連携のスムーズな方法について研修があればと思います。
ケアマネマイスターの実際のケアプランや作成方法を見て学びたい。
高齢者の栄養状態改善について
地域包括ケアを具体的にどのようにしていく方向なのか、広島市及び各区の考え方、方針について、情報がいただけると助かります。居宅としての運営方針にも関わりますので、早めに知りたいです。
虐待事例の対応、生命の危険まではいかないような事例の対応の仕方
医療、介護の制度改正に関わるテーマについて学びたいと思います。