(研修会報告)
第2回居宅介護支援事業者研修会
日時 平成30年3月18日(日)14:00〜16:00
場所 広島国際会議場「ヒマワリ」
参加者 145名
講演 平成30年度介護報酬改定等について
講師 厚生労働省 医政局 経済課長 三浦 明 氏


1.介護保険を取り巻く状況
今後、日本の総人口が減少に転じていくなか、高齢者(特に75歳以上の高齢者)の占める割合は増加していくことが想定される。
2065年には、人口は8808万人まで減少するが、一方で、65歳以上は全人口の約38%となる。
地域ごとに人口の変化に特色を持つようになるため、特性を活かしながら高齢化の対策を考える必要があ る。
認定率が65歳以上が2割、年齢が上がり80歳以上になると6割と高くなっており、今後、重度化を防 止し認定率の立ち上がり部分を遅くしていく必要がある。
2025年に向け、在宅医療の需要は、「高齢化の進展」や「地域医療構想による病床の機能分化・連携」に より大きく増加する見込み。
介護保険制度は、制度創設以来17年を経過し、65歳以上被保険者数が約1.6倍に増加するなかで、サービス利用者数は約3.3倍に増加している。

2.30年介護報酬改定
○平成30年度介護報酬改定に係る基本的な考え方
  T.地域包括ケアシステムの推進
  U.自立支援・重度化防止に資する質の高い介護サービスの実現
  V.多様な人材の確保と生産性の向上
  W.介護サービスの適正化・重点化を通じた制度の安定性・持続可能性の確保
○居宅介護支援
  ・基本報酬
  ・@医療と介護の連携の強化
 (入院時情報提供加算、退院退所加算、特定事業所加算の見直し)
  ・A末期の悪性腫瘍の利用者に対するケアマネジメント
  ・B質の高いケアマネジメントの推進
  ・C公正中立なケアマネジメントの確保
 (契約時の説明等、特定事業所集中減算の見直し) 
  ・D訪問回数の多い利用者への対応
  ・E障害福祉制度の相談支援専門員との密接な連携 

3.地域支援事業の推進
・新しい地域支援事業の全体像
・知己包括支援センターの機能強化
・地域ケア会議の推進

4.今後の課題
・負担能力に応じた公平な負担、給付の適正化
・医療・介護提供体制の適正化
・「介護離職者ゼロ」に向けた介護人材確保対策
・介護分野におけるICT等に関する閣議決定

5.平成30年度診療報酬改定について
・医療と介護の連携の推進
・国民の希望に応じた看取りの推進
 「人生の最終段階における医療の決定プロセスにおけるガイドライン」
・特別養護老人ホーム等におけるターミナルケアの評価
・訪問診療の主治医とケアマネジャーの連携強化
・介護医療院の創設への対応
・維持期・生活期のリハビリテーションへの対応

6.最後に
より良い地域にするためにケアマネに期待すること。
1.サービスが入っていない時も含めて24時間をイメージしたケアプランを考えてほしい。
2.本人だけでなく家族も含めて地域のことを考えるケアマネになってほしい。
3.利用者の行動変容につながるケアプランのために対人援助にこれまで以上に取り組んでほしい。

 
(アンケートまとめ)
1.本日の研修会はいかがでしたか。(回答数145人)
とても参考になった 60人(42%) 参考になった 80人(55%)
あまり参考にならなかった 5人(3%)   参考にならなかった 0人(0%)
2.研修会についての意見等(抜粋)
三浦先生のお話は、いつもご丁寧で分かりやすいです。同時改定で大変ですが、時代の流れに沿った改定であることが分かりました。
時間が足りず、1つ1つ深く説明というわけにはいかなかったが、資料をじっくり読んでみます。きちんとケアしたことに、しかるべく評価、報酬をつけるといった考え方を聴講でき、身の引き締まる思いです。
今回の改定で義務化という文言が多くなり、医療との連携がますます重要になると感じました。
全部良かった。特にアウトカムのこと、課題、終わりの3つのコメント。中央の方々の根拠等が聴けてよかった。
利用者さんへの説明について、これからどのようにしようかと思案中です。
介護保険制度に始めから関わってこられた方からの説明は、現実的でよく理解できました。今までは現場を理解されず、机上の空論でできた保険制度と思う部分もありましたが、各地域の評価やモニタリングをしっかりと行いながら、様々な事例を見て、考察されていることが分かり、安心いたしました。制度の意向に添ったプラン作りを行っていきたいと思いました。
中立公正の明確化、医療との連携など、介護保険制度の方向性と居宅の役割について理解することができました。
今日は参加して良かったです。今までと違った面、視点からも考えていけるよう、取り組んでいけるよう頑張りたいと思います。
とても幅広く、量も多くて、もっと絞ってもらっても良かった。しかし、資料をたくさんありがとうございました。
どのように制度が作られるか、ケアマネとして求められる役割がよく分かりました。
要点は理解したが、帰社して資料を読み込む必要がある。自分の役割を考える。専門職として、住民として。
3.今後、参加してみたい研修のテーマやその他意見等(抜粋)
がんに対するケアプランなど
実践などの現状を含めた勉強会など
リハビリや医療との連携
施設入居、退居時の連携
地域共生社会の取り組み
診療報酬、介護報酬(今回と同様で)
多職種との連携について
口腔ケアや栄養のこと
看取りについての研修
他区のCMとの交流会等があればおもしろいと思う
ケアプラン点検について