(研修会報告)
居宅介護支援事業者研修会 第23回令和5年度事例発表会
日時 令和5年12月7日(木)10:00〜15:30
場所 広島医師会館 大講堂
参加者 160名
講演 「病院と地域をつなぐケアマネジメント−入退院に伴う病院との付き合いかたのコツ−」
講師 神奈川県立保健福祉大学 実践教育センター
地域ケア教育部長 兼 保健福祉学部
准教授 柴山 志穂美 先生
【講演】
まず、講師自身の軸は「利用者の願いを叶えることにある」と前置きされ講演が始まった。 冒頭、2025年問題2040年問題を含む人口構造の変化について、慢性疾患患者の増加・入院患者の高齢化や在院日数の短縮化・病床機能分化によるニーズの変化について、データに基づき解説された。
『時々入院、ほぼ在宅』を実現するためには、生活の視点とケアプラン力が重要である。介護保険が浸透し、診療報酬に入退院時加算が設けられたが、病院側は在宅をイメージしにくい状況がある。入院後早期に、ケアマネジャーが退院困難な要因をスクリーニングし、情報提供することで退院後の生活を見据えた退院支援・退院調整が可能となる。病院にとってダイヤモンドに値するプレゼントである。
大半のケアマネジャーは、病院は敷居が高いと感じる。苦手だと自分自身が知っていること、自分が苦手なことは上手くできる人を巻き込んでチームを形成すること。誰のためのケアチームか?地域で支える仕組みを造る、医療保険と介護保険の制度間の連携、病院や施設・在宅への個別ケアの連続性、「住み慣れた地域で続けたい」と願う利用者のために、主語を利用者にすれば、かみ合わないところも上手く融合していく。理想的なケアマネジャーの関わりは、入院中に専門職の意見を収集し課題分析を行い、ケアプラン原案を作成、入院前の生活を踏まえ退院後の生活を見通すこと。現在の退院時サマリーは、退院後に在宅で必要な情報と乖離がある。問題点ではなくICFを退院時サマリーの標準様式に入れ込み、地域連携パスを検討中であると紹介された。
 
【事例発表】
<中区> 目標を達成するための段階的な課題を明確にし、その課題を共有し分担を決めて支援できたことで、効果的に機能訓練が行えた事例

さやか居宅介護支援事業所 藤本 正治 氏

<東区> 人生会議(ACP)の有用性を後から痛感し学んだ事例

ニチイケアセンター矢賀居宅介護支援事業所 砂元 智洋 氏

<南区> レビー小体型認知症利用者の予防的視点を踏まえたケアマネジメント

介護サポートセンターいんくる 徳重 太朗 氏

<西区> 認知症があり他者の介入を拒んでいた本人に対して信頼関係を構築し意思決定につながった事例

ケアプランオフィス三滝ひまわり 火村 美恵子 氏

<安佐南区> 骨折で急激にADLが低下した高齢者に対し、医療と介護の専門職が連携して支援を行うことで、介護負担の軽減につながった事例

サカ緑井病院居宅介護支援事業所 小笠原 良二 氏

<安佐北区> 精神疾患のある高齢者の支援
〜ラポール形成と自立を妨げない支援の重要性〜

生協ひろしま居宅介護支援事業所 山藤 由美子 氏

<安芸区> 認知症高齢者の環境の変化に伴うリスクに対応した支援
〜家族支援の重要性〜

居宅介護支援事業所あおいくま 原田 美保 氏

<佐伯区> 利用者をよく知り、個人因子(性格や考え方等)を強みに捉えた自立支援で、介護サービスが卒業できた事例

ふじ五日市居宅介護支援事業所 上田 千寿恵 氏

 
【事例発表会総評】
・自らサービス事業所の会議に参加し、積極的かつ意図的なケアマネジメントの事例。
・本人の意思の尊重、寄り添いの意味、ACPの有用性を痛感した事例。
・関わる人たちの不安を解消する丁寧なチーム作りの事例。
・認知症利用者に対して、ガイドラインの基本原則に沿って取り組んだ事例。
・骨折後ADL改善に向け、疾患や状態像に合わせた専門職のチーム作りや連携の重要性を示した事例。
・精神疾患のある利用者と家族への支援において、まずケアマネジャー自身が信頼関係構築することの意義を得た事例。
・環境変化のリスクに対して、本人と家族に寄り添い一緒に悩むことで最良の状態に繋がった事例。
・強みの個人因子に着目した具体的なプランが卒業に繋がった事例。

どの事例も、利用者の意思決定に寄り添い、段階的に目標へ取り組むケアマネジメントプロセスに直結している。経験的にではなく判断の根拠を明確に持って、個別のケアチームで取り組んだことが強調されていた。なぜ行うのか、どのように行うのかを、利用者個人に寄り添いつつ、ケアマネジメントの専門職として取り組みが散りばめられていた。実践の意味付けを後からすることで、その後のかかわりの参考になる。それぞれの立場・地域で、今日の学びを活かしていくと、さらに願いが叶う利用者がたくさん増えていくと思う。